2012.
01.29
Sun
建築年:大正15年(1926年)
所在地:杉並区高井戸西1-12-1 TEL:03-3334-2101
構 造:RC造 地上3階+塔屋
設 計:内田祥三(担当:土岐達人)
浴風会1
 京王井の頭線富士見が丘駅から、神田川の脇を通り、住宅街を8分ほど歩くと、新旧の建物がある大きな病院があります。
この病院は、関東大震災により老廃疾者、扶養者を失った人の救護ために、義援金や下賜金を基に大正12年(1923年)設立されました。
建設は内務省社会局が管理し、RC研究の権威であった内田祥三に設計を依頼し、大正15年に竣工されました。
 戦時中は軍に接収され、資金も凍結となりましたが、戦後に生活保護施設として復活、近代の養老事業・老年医学・ケアスクールなどの老人総合福祉施設としての先駆けとなりました。
旧本館は、東京都歴史的建造物に選定され、平成16年~17年にかけて、旧本館の外壁・防水層の改修がなされております。
           詳しくはコチラ→【浴風会
浴風会2
裏手の庭と池。日差しが入り眺めがよい部屋が並ぶ。手前の小塔は噴水。
浴風会3
池の反対側にある礼拝堂。2005年の訪問時は、礼拝堂の外壁は古いタイルであった。
浴風会5
バットレスで強度とゴシック教会の雰囲気を出している。階段が多いのは避難を考えてか?
浴風会7
正面玄関側は非対称のデザインで、照明器具は当時の物。スロープは後から新設。
浴風会6
 スチール製の玄関扉。バラの花のデザインで、庭にもバラが植えられている。
握り棒は使い手を選ばないユニバーサルデザインとなっている。
浴風会4
室内。大部屋だが左右に窓があり風通しが良い。この部屋は映画やドラマにたまに出てくる。

 内田祥三は、鉄筋コンクリート・防火の研究者であり、東京帝国大学の総長(1943年~)も務め、東京大学の安田講堂のほか本郷・駒場校舎、東京農工大学農学部本館、天理学園などを設計しています。
 内田氏は、大正9年・市街地建築物法の防火の項を担当し、近くで火事があれば必ず見に行くという、野次馬ならず放火魔と間違えられても仕方ないほどの熱心さであったといいます。
 震災後は、恩師であり建設局長となった佐野利器と共に復興指導し、同潤会理事として活躍。
大正13年には国により、防火地区建築補助規則:建築費の1/10~1/6の補助金と低金利長期貸付制度が発足され、住宅や商店にも準防火構造が奨励されました。
 内田氏らの研究から、隣家からの火が軒下にまわり、延焼してしまう事が解り、建築条例により防火基準が制定され、軒裏まで不燃材で覆うよう指導がなされました。
そして、正面が平らで銅板やモルタルに覆われた看板建築の誕生となりました。
 さらに内田氏は、木造建築の防火実験も開始し、昭和8年(1933)にモルタルの防火性能を
証明しました。
 この建物を担当した土岐達人は、門下生として当時は同潤会建築部に所属し、のちに鹿島建設にも在籍していたようです。

[2005年11月 訪問]
 
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2012.
01.22
Sun
建築年:昭和7年(1932年) 1930年9月~1931年3月に設計、1931年5月に起工、1932年4月に竣工
所在地:藤沢市善行7-1-2神奈川県立体育センター内 TEL:0466‐81‐2570(代)  現在名称「グリーンハウス」
構 造:RC造、 地上3階+地下1階
設 計:レーモンド設計事務所(担当:杉山雅則)
定休日:月曜日(祝日の場合その翌日)、年末年始、貸切時
食 堂:10:30~15:00位(玉屋食堂:0466‐82‐9387)

GH・車寄せ
 小田急江ノ島線善行駅から坂道を上って運動場をしばらく歩くと、グリーンハウスがあります。
この一帯は旧ゴルフ場で、この建物は旧クラブハウスであり、アントニン・レーモンドの設計です。
2011年11月19日 この建物内で、マンドリンと歌によるミニコンサート、映写会、マサ・ニシジマ氏による講演会が開催されました。(善行雑学大学主催)
1932年5月29日の開場式の映像には、招待者の初打の様子が写され、朝香宮妃殿下のスーツ姿(膝下丈スカート)でのプレーはモダンで洒落ており、当時の憧れの女性であった事がわかります。
 このゴルフ場は、1930年(昭和5年)に仮コースを開場。 その後ベーブ・ルースなど数多くの著名人がプレーをしましたが、1943年に海軍航空隊司令部の徴用のため閉場しました。
 終戦後の建物はアメリカ進駐軍が駐留、返還後1947年から12家族の引揚者住宅とし、1953年~1988年まで神奈川県の管理でサッカー日本代表などの合宿所として利用されました。
 現在は管理事務所の他、玉屋食堂が営業を続けておりますが、歴史的建造物として改修がなされ、外部はテントで覆われております。 今後は、内部も改修に入るようです。 ※施設案内についてはコチラ→【グリーンハウス】
GH・玄関ホール
左: 玄関ホール…2階窓の奥は旧食堂で、現在は倉庫
右: 玄関~車寄せ方向…外部は傷みが激しく、塗装が剥がれている

GH・ホール2
講演会の様子…2階の旧ラウンジ中心にあった三角形の暖炉はなくなっている

GH・タイル
上: 玄関ホールの床    中: ラウンジの床モザイクタイル『ホールIN!』
左下: 床タイル『冨士と日の出』    右下: 床タイル『カエル!?』 flag/frogの駄洒落か? 

GH・階段2
左: 3階の皇族および女性更衣室とトイレ。現在は倉庫。
右: 3階の階段ホール          ※非公開区域
GH・階段1
階段にもモザイクタイル    ※非公開区域
GH・2階便所
左: 下階のシャワールーム…床タイルと大理石の壁は当時の物   ※非公開区域
右: 2階のトイレ…床タイルは当時の物

GH・1階
上: 下階ホールとトイレ 
下: 下階の明り取り窓        ※非公開区域


 A・レーモンドは、東京・我孫子・相模・藤沢のゴルフ倶楽部ハウスを設計しましたが、現存するのはこの藤沢のみ。 その他の建物で現存するのは、東京女子大学礼拝堂・聖心女子学院・エリスマン邸・フェリス女学院10号館・群馬音楽センター・星薬科大学などがあります。

【2011年11月 訪問】


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2012.
01.15
Sun
建築年:大正元年(1912年)
所在地:日光市相生町115(JR日光線)
構 造:木造2階建て
日光駅1
 このJR日光駅は、明治23年(1890年)に開業し、大正元年(1912年)現在の駅舎に改築。
天皇家が田母沢御用邸を訪れる際に、さらに日光東照宮の最寄駅として数多くの観光客に利用されました。
 現在は、東武日光駅が開業し、田母沢御用邸が皇室から離れ、特急の停まらないローカル線になってしまった為に、かつての賑わいは無くなっています。
 しかし、不幸中の幸いで木造の駅舎が残り、鉄道ファンが訪れる名所となって、「関東の駅100選」に選定されています。
日光駅2
 定期的に修繕がなされ、看板もレトロな雰囲気を出す正面玄関。
日光駅4
 2階にある、かつての1等客の待合室。
現在は「ホワイトルーム」として、ギャラリーや会議室に利用可能。(代)050-2016-1600
貸切り以外は、9:30~17:00まで一般公開されております。(不定休)
日光駅6
 当時のシャンデリアを修理し、照明として見事に復活。
日光駅7
 特別公開の入場券を購入し、ホームに入ってしばらく歩くと不思議な水場があります。
高さは50センチもなく、園児用サイズ。後ろの水栓と支柱は新しく、手前の流しは古い物です。
蛇口を見ると、現在は掃除や散水用として使っているようです。
日光駅3
 皇室が利用された旧国鉄駅には貴賓室がありましたが、ほとんどが建替えられたり焼失し、
現役現存なのは原宿駅のみで、JRで現存(現地保存)するのは上野・神戸・門司港・畝傍など。
この日光駅では、夏に特別公開があります。(JR東日本のホームページで告知)
日光駅5
 貴賓室は意外と小さくこじんまりとし、ご家族で落ち着けるようなインテリアとなっています。
ドアには、大正~昭和初期にかけて作られた結霜(けっそう)ガラスが用いられています。
ニカワの乾燥による収縮でガラスに模様をつけたもので、当時流行しました。
※結霜ガラスについてはコチラ⇒【旧藤田謙一別邸
日光駅7
 シーリングメダリオン(天井飾り)。 上:1等客室 下:貴賓室
貴賓室の装飾が意外とシンプルなのは、部屋と照明の大きさに合わせているため。
重いシャンデリアを吊るす為、下地には補強の構造材が入っています。

  【2010年6月 訪問】 


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2012.
01.08
Sun
西福寺・開山堂〔新潟・浦佐〕
 建築年:安政4年(1857)
 構 造:木造 茅葺き屋根
 所在地:新潟県魚沼市大浦174
 TEL:025-792-3032
西福寺
 浦佐駅~車で10分の所にある、曹洞宗・赤城山西福寺(せきじょうざんさいふくじ)は、室町時代後期(1534年)に開山。
幕末の頃、開祖道元禅師を祭る為、5年の歳月をかけて本堂脇に建造されました。
西福寺2
天井・欄間の彫刻は石川雲蝶によるもの
西福寺3
欄間には道元禅師の教えが彫刻で施され、子供でも理解ができる
西福寺4
鬼婆を見て驚く侍と、偏見を持たず鬼婆に接する禅師
西福寺1
波と雲の上に、烏天狗・象・獅子の彫刻

【見 学】
時 間:9:00~16:00(受付は15:40まで) ※都合により変更あり
休 み:無 休 ※都合により変更あり 
拝観料:500円(高校生以上)
TEL:025-792-3032      ※詳しくはコチラ→【西福寺・開山堂】

 【2010年9月 訪問】


清津峡〔新潟・湯沢〕
 所在地:新潟県十日町市 
清津峡
 西福寺~45kmの所に、意外と知られていない素晴らしい渓谷がありますので紹介致します。 この2箇所を訪れるなら、浦佐~越後湯沢付近に泊まり、車で巡るのがよいでしょう。
 この清津峡は、名勝・国の天然記念物に指定され、柱状節理による渓谷美が楽しめます。  柱状節理とは、溶岩が隆起し冷えて固まり、規則的に割れ目を起こした岩山の事ですが、この地では永年の川の流れにより深い谷間を形成しました。
紅葉の季節には多くの人々であふれる観光スポットですが、夏の季節には観光客も少なく、2~3組の個人客の姿が見える程度。 延々と続くトンネルの中を歩いていくと、時折ぽかりと外部に開いた空間に辿り着きます。 そこはガラス窓もなく、雄大な柱状節理の渓谷を見渡せるようになっています。
 昔は、渓谷の下の細い道を歩くことができたそうですが、昭和63年の落石事故で1名が亡くなってしまった為に、さらに増水などの危険性があるため、このトンネルを造ったようです。 冬も観光ができるようになった分(冬は休業となりました)醍醐味がなくなってしまったのがとても残念。 昔の遊歩道を整備し、自己責任による通行ができれば、夏も賑わう観光地となるでしょう。
【見 学】
料 金:600円(高校生以上)、300円(小・中学生以上)
時 間:8:30 ~ 17:00(受付は16:30まで)
休 業:1月中旬 ~3月下旬まで
TEL:025-763-4800     ※詳しくはコチラ→【清津峡

 【2010年9月 訪問】


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