2017.
06.13
Tue
建築年:昭和7年(1932)
構 造:1階はRC造、2階は木造
所在地:東京都日野市日野本町7-12 仲田公園内
交 通:多摩モノレール甲州街道駅~徒歩約12分 or、JR日野駅~徒歩15分
公 開:年1回位(日野市が所有、日野市産業まつり等で公開)
日野桑園第一蚕室・南面
 こちらは桑や蚕の品種改良・生育研究などをしていた国立の蚕業試験場分室の建物でした。
現在は日野市所有で通常非公開ですが、仲田の森遺産発見プロジェクト等により、調査や見学会(不定期)が実施されてきました。
現在は年1回程度、11月に行われる日野市産業まつりで1階のみ公開されています。
日野桑園第一蚕室・北面
北面は窓が大きく、庇が長い
日野桑園第一蚕室・軒天
軒天に残る屋根裏換気口?
日野桑園第一蚕室
玄関
日野桑園第一蚕室・事務室
事務室
日野桑園第一蚕室・廊下
蚕室の両側にある廊下
日野桑園第一蚕室・蚕室
蚕室
日野桑園第一蚕室・炉
蚕室を暖める炉は埋薪法(薪の上に籾殻)を採用。 後に電熱線→室内ヒーター(夏は水冷)→温風機に変更
日野桑園第一蚕室・ラジエーター
ラジエーター式ヒーター(夏は水冷)
日野桑園第一蚕室・天井
蚕室天井:開口部は換気と物の出し入れ用
2階は一時、上簇(回転まぶし)の時に使用したが、それ以降は物置だった
日野桑園第一蚕室・作業室
作業室(2F大広間の物置は非公開)
日野桑園第一蚕室・作業室2
作業室:左手に火起場と桑貯蔵室、右手は蚕室
日野桑園第一蚕室・火起場
火起場にあるボイラーで湯を沸かし、蚕室のヒーターに使用
日野桑園第一蚕室・配置図
展示されていた配置図:第6蚕室(通称・かっぱハウス)は2011年に解体
日野桑園第一蚕室・図面
当初の配置図と第一蚕室1F平面図 ※展示パネルより
1Fは事務室・蚕室・作業室・桑貯蔵室・火起場(ボイラー室)
2Fは倉庫、東西方向はバルコニーになっていた(現在、西側に屋根がかかる)
日野桑園第一蚕室・庁舎跡
庁舎(竣工1936頃)の基礎跡
仲田公園・湧き水
西門付近にある湧き水:現在はポンプUPしているようで水の勢いが良い。 飲用水ではないが地元の方がペットボトルで水を汲んでいた。
精進場
近くにある精進場跡:用水の合流地点はかつて池の様になっており、参拝者が霊山へ登る前に体を清めた場所だという
日野本陣
日野宿本陣:かつて八王子千人同心が暮らしていた日野には、春日隊・新選組に関する資料館が点在する


 東京の高円寺にあった農林省『蚕業試験場』が、昭和3年頃(1928)この地に研究部門の分室と第一桑園を設置。 敷地内には調査室や寄宿舎があり、近隣には第二桑園(石田)・第三桑園(谷戸上)がある広大な試験場でした。
日野地域は地下水が高く、高温多湿・干ばつ・9月に長雨と、桑の育成にはやや不利でしたが、土壌改良と消毒効果で徐々に好転します。
 高円寺の本場『蚕業試験場』は、明治 44 年(1911)農商務省『原蚕種製造所』として設立。 大正3年(1914)農林省『蚕業試験場』になり、昭和12年『蚕糸試験場』と改称。 昭和 55年に筑波へ移転するのにともない、この日野桑園も閉鎖されました。 そして、高円寺の跡地は蚕糸の森公園となり、日野の跡地は仲田公園・仲田小学校・ふれあいホール・スポーツ公園となりました。
 かつての蚕業研究は盛んで、国立・県立・私立による蚕糸試験場と飼育所が全国各地にありました。 しかし、昭和32年からの『なべ底不況』で市場価格が暴落し、政府が生糸買い上げを行った結果、在庫を抱えて桑園の減反へと政策が変更されます。
これにより昭和33年(1958.10.1)国立の蚕糸試験場は大幅な組織改革が行われました。
◇4支場は改称(福島→東北、松本→中部、綾部→関西、熊本→九州)
◇明石支場は廃止
◇その他の支場と飼育所も廃止だが、全部又は一部の施設を利用(新庄支場→新庄原蚕種製造所、前橋支場→養蚕部、武豊支場→本場附属武豊試験地、宮崎支場→宮崎原蚕種製造所、四国飼育所→関西支場四国試験地、山川飼育所→九州支場山川試験地、小淵沢飼育所→小淵沢原蚕種製造所)
 その後も業務変更/廃止/改称/移管が実施されるなか、日野桑園は蚕糸試験場の分室として残っていましたが、昭和 55年に本場が筑波へ移転するのにともない日野桑園も閉鎖されました。
ちなみに現在、日野桑園第一蚕室以外に公開されている国立蚕糸試験場の建物は、「前橋市蚕糸記念館」として敷島公園バラ園内に移築復元された前橋支場本館(明治44年竣工)と、「原蚕の杜」の中に現存する新庄支場の建造物一群(昭和9~12年竣工)となっています。
桑

【参考文献】
蚕糸研究68「蚕糸試験場日野桑園における飼育成績17年間の推移」原田忠次 著 1968 農林水産省蚕糸試験場
「農林水産省における蚕糸試験研究の歴史-Ⅷ.蚕糸試験場(昭和12年)」北村實彬・野崎稔 著 2004 農業生物資源研究所 
「旧蚕糸試験場日野桑園第一蚕室(桑ハウス)保存活用に向けた復原調査報告書-改訂版-」2015 仲田の森遺産発見プロジェクト

【2015年11月 訪問】


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