2016.
04.17
Sun
建築年:昭和7年9月着工、昭和9年3月完成、平成15年に増改築工事完了
設 計:大蔵省営繕管財局工務部(増改築は香山・アプル設計共同体+国交省)
構 造:改修棟SRC造5階建て・増改築棟SRC造+S造7階建て
住 所:神奈川県横浜市中区海岸通1-1
交 通:みなとみらい線「日本大通り駅」~徒歩3分
TEL:045-212-6053        ※業務についてはコチラ⇒【横浜税関
横浜税関
 2015年3月の横浜三塔の日に「クイーンの塔」と呼ばれる横浜税関庁舎で、普段は公開されていない旧税関長室と展望台が定員制で公開されました。 輸入品通関と密輸取締り等を行う横浜税関は、現在、神奈川・宮城・福島・茨城・栃木・千葉を管轄しています。
横浜税関・玄関
港側の玄関
大蔵省の設計担当者と云われる吉武東里は、住宅なども手掛けている⇒【旧島津一郎アトリエ
横浜税関・車寄せ
大通り側の玄関には車寄せが
横浜税関・外壁
外壁タイルは昭和40年代に貼り換えたようだが、平成の工事で部分的に修復されている
横浜税関・展示室玄関
資料展示室の玄関: 主な外壁装飾は保存
横浜税関・展示室
1F資料展示室は平成元年から公開している
10時~16時(5~10月は17時まで)、休館は年末年始
税関制服
明治時代の税関の制服を再現(左は下役)西洋顔で違和感があるので島津マネキンの様なものが合うのだが 
横浜税関・竣工資料
竣工当時の資料
横浜税関長
税関長の写真(左から、4代目の星 亨、3代目の中島信行、初代の上野景範)
ちなみに、星 亨が暗殺された後、東京の本邸は山本条太郎が購入したと云われている
横浜税関・階段
1号階段は平成の工事で腰壁のテラゾー(人研ぎ)は洗浄、漆喰壁は塗り替えている ※非公開区域
横浜税関・ホール
3Fホール床     ※非公開区域
横浜税関・廊下
左:3Fホールの腰壁も階段と同じ仕上げ       右:廊下は腰壁なし
横浜税関・貴賓室
3Fの旧貴賓室  ※非公開区域
横浜税関・額縁
3Fの旧貴賓室の額縁  ※非公開区域
1582~1590、ITO MANTIOと書かれている(天正遣欧使節・伊藤マンショ)
横浜税関・装飾1
貴賓室の天井と梁の装飾
平成の工事で3室共、壁紙の貼換え・漆喰の塗替え、寄木貼りの床板に張替えられた。
横浜税関・次室
旧貴賓室次室  ※非公開区域
横浜税関・税関長室
マッカーサーが使用したと云われている旧税関長室 ※非公開区域
横浜税関・装飾2
上:天井の換気口、 中:梁の漆喰彫刻、 下:ラジエーター式暖房機グリルは銀色で統一
横浜税関・展望台
平成の工事で増築された7階展望台  ※非公開区域
横浜税関・塔上
塔の銅板葺き屋根、外壁タイルは部分補修されている
横浜税関・塔下
塔と屋上との取り合い(内部は公開されていない)
横浜税関・中央
中庭の建物も新しくなった
横浜税関・模型
左:竣工時の様子     右:平成の工事後の様子 (展示室模型より)


 横浜税関の前身である「神奈川運上所」が慶応2年の大火で類焼し、埋立地に石造平屋建ての運上所と上屋2棟が翌年に完成しました。 名称も「横浜運上所」となっていましたが、明治5年に「横浜税関」と改称され、所管も神奈川→外務省→大蔵省へと移り、現在は財務省となっています。
 明治6年(1873)、現在の神奈川県本庁舎の位置に、石造3階建て(R.P.ブリジェンス設計)の初代税関庁舎が完成。 そして明治18年に、塔付きの煉瓦造2階建て本関(税関本部)が完成すると、旧庁舎は県へ約8万円で譲渡。 新庁舎の1Fには輸入検査場・事務室・金庫派出所・警備室が、2Fには税関長室・2つの応接室・官房室・図書室・庶務課・統計室・見本室がありましたが、それも関東大震災で倒壊しています。
それ以外にも西波止場の監視部(煉瓦造2階建て1893)、新港右突堤事務所(鉄骨煉瓦造3階建て+塔屋 1914)、萬国橋際事務所(煉瓦造2階建て1914)等がありましたが、それも被災したようです。
 震災後の税関業務は木造平屋建てで行われていましたが、昭和に入って庁舎を新築する事になりました。 その設計図を見た当時の税関長・金子隆三に叱責され、一部を4階建てに削り、県庁の塔より約3m高く設計変更。 昭和9年(1934)現在の庁舎が完成し、1F~2Fは事務室、3Fは貴賓室・税関長室・部長室など、4Fは会議室・協議室・柔剣道場、5Fは講堂・映画検閲室に使用されました。 
 終戦後はGHQに接収され、連合国軍総司令部が東京の第一生命ビルへ移転した後も、昭和28年(1953/11/28)まで第8軍司令部が使用しました。 この建物は税関庁舎に戻り、近年になって設備の老朽化により建替えの案も出ましたが、横浜三塔の一つとして保存が決定し、平成13年着工~15年に増改築工事が完了しています。 
 その工事とは、河口の砂州埋立てで液状化の恐れがある海側を中心に、改修棟下はCPG工法、増改築棟下はSLP工法による地盤改良を施して、マルチペデスタル杭などを打ち込み、改修棟と増改築棟の基礎を繋げています。
横浜税関3
【参考文献】
「横浜税関一覧」1900 横浜税関
「横浜税関沿革史」1902 横浜税関
「横浜税関新設備報告」1917 大蔵大臣官房臨時建築課 編 
「横浜税関と其の設備」元尾光輝 著 1937 横浜貿易協会
月刊建設48号「横浜税関庁舎の保存活用」石丸茂 著 2004 全日本建設技術協会
基礎工34号「歴史的建造物の保存・再生のための液状化対策実施例」伊勢本昇昭・金子治著 2006 ㈱総合土木研究所

【2015年3月 訪問】

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