2016.
05.08
Sun
住 所: 埼玉県川越市松江町2丁目11-10、12-4
交 通: 西武新宿線 「本川越」 駅~徒歩約11分、または東武バス 「蓮馨寺」or「中原町」バス停~徒歩3分位
公 開: 2016/5/22,6/26の12~15:00、7/30百万灯夏祭りの17:30~20:30
     ※それ以降は保存整備工事の都合上、公開については川越市都市景観課へ要問合せ
川越織物市場1
 旧鶴川座と同じ、立門前通り沿いにある古めいた建物。 実は明治末期に建設された織物市場跡で、川越の歴史には欠かせない織物にまつわる施設でした。 
江戸時代、秋元家が甲斐国谷村藩から入封すると絹織物の技術が庶民に伝わり、夏袴の絹布『川越平』が生産され、品質面でも五泉平と並んで全国2位(1位は仙台平)になりました。 その技術は綿織物でも生かされ、江戸末期からインド製の唐桟織を模倣した『川越唐桟』へと変化。
明治に入っても織物業は盛んで、川越を含む入間郡は埼玉の中でも製糸工場・織物工場・機業家数とも圧倒的に多く、昭和まで生産されていました。
昭和13年の資料によると、川越織物工業組合(松郷484)所属の織物工場では、人絹着尺地・ポプリン・縞木綿などが生産されています。
 明治末期には、織物市場と染織学校が設置されており、明治41年に開校した川越染織学校は、染織科の専門課程と一般教養を学ぶ公立学校で、校内には図案調整所(1910創立)も併設され、品評会の優秀作品は組合へと提供されました。 この学校は現在、川越工業高等学校となっています。
川越織物市場2
 川越では、川越商業会議所の主導により織物市場を設置することになり、明治43年3月14日に川越織物市場㈱を創立。 建設費25,000円をかけた建物が3月中旬に竣工しました。
そして織物市場組合(松郷471)がこの建物を借り受け、3月25日に開業式、4月5日から初市が行われました。 それ以降、毎月5と0が付く日(2/30→3/1変更)の8時~14時に市が開催され、綿・絹綿・絹・染物類が取引されました。 その他にも川越には、毎月1・6の日に開催される南町の繭糸市場(設立1910年)や、3箇所の市場を合併した連雀町の青物市場などがありました。
織物市場に入る仲買商の口銭は1.5/100、構内には税務署の出張所も設置された健全な市場でしたが、東京の大店では直取引が行われるようになり、7~8年で閉鎖となっています。
 その後、長屋住宅として使用されていましたが、平成13年11月に14階建マンションの建設計画が発表され、即座に地元の有志が「旧川越織物市場の保存再生を考える会」を立ち上げます。 13,000人以上の署名も集まり、川越市で買収する事になったものの、価格交渉で折り合わず取壊しの危機に。 12月~翌年6月までメンバーが夜間も泊まり込んで建物解体を防ぎ、2002年12月に保存が正式に決定されました。 以降、不定期ですが建物も公開され、今後は保存整備工事が実施されます。 さらに、若手アーティストらの創業支援施設として貸し出す方針となりました。⇒【川越市
川越織物市場・図面
川越織物市場の図面                ※展示パネルより
 東棟(平面図上)は組合事務所と10店舗、西棟(平面図下)は12店舗。
間口3間を板戸で2つに区切って6帖間とし2店舗が入る。 裏手に便所の個室が11か所
川越織物市場4
住宅に改装された箇所
川越織物市場3
当初の様子が分かる箇所
川越織物市場・揚げ戸
格子戸と板戸は摺りあげ戸形式で、柱を外すと全開できる
川越織物市場・1階
住宅として改装された室内
川越織物市場・階段
左:階段から見た2階の部屋       右:1階から階段を見上げる
川越織物市場・2階
2階の部屋は床が抜ける恐れがあるため覗く程度
川越織物市場・室内
当初の様子が分かる部屋もある
川越織物市場・土間
上がり框の下にある床下換気口
川越織物市場・模型
川越市立博物館に展示されている模型
栄養食配給所1
栄養食配給所:木造一部2階建て
 当初は事務所として建設されたようで、栄養食配給所になると朝・昼・晩の食事が配給された。 各工場の貧しい賄い食から、ライスカレー等のハイカラな食事になったという。
この栄養食配給所は労働者の食の改善のために設置されたもので、川越市の調査によるとこちらを含めて2ヶ所が現存。 東京・門前仲町には市設の深川食堂(1932)が残り、『深川東京モダン館』として保存活用されている。
この川越栄養食配給所は役目を終えた後、住宅に転用された。
栄養食配給所3
左:市場側から見た栄養食配給所 
右:カマドの上に床を張り住宅として改造(手前は掘り炬燵か?)
栄養食配給所・内部4
床下のカマド跡
栄養食配給所・内部1
カマド跡:焚口は裏側にある
栄養食配給所・カマド
カマドの中
栄養食配給所・内部3
厨房境の窓
栄養食配給所・内部
左:道路側も住宅として改装    右:厨房(カマド部分)は吹き抜け天井
栄養食配給所2
改築を重ねた栄養食配給所


 訪問時には、泊まり込みをして解体を防いだメンバーもおり、栄養食配給所の内部も拝見させていただきました。
川越織物市場の会の皆様、誠にありがとうございました。

     
【参考文献】
「埼玉県勧業年報」 1903 埼玉県内務部
「川越商工案内」1911 川越商業会議所
「日本綿織物工業組合聯合会所属組合員名簿」1938 日本綿織物工業組合聯合会
「川越商都の木綿遺産:川越唐棧 織物市場 染織学校」2012 川越織物市場の会
図録「譜代大名秋元家と川越藩」2012 川越市立博物館
川越市HP

【2015年3月 訪問】

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